DECO*27の『モニタリング』を初めて聴き、そしてMVを観終えました。
真面目な人ほど、自分を責め、気づけば心が摩耗し、孤独に沈んでいくという。
この作品の主人公もまさにその渦中にいて、認められたい、受け入れられたいという乾いた衝動が胸の奥でじりじりと疼いているかのよう。
その渇きはときに、“他者の心に自分の願望のヴェールを被せてしまう”という危うい働きを持つ。
それでも主人公は、ミクをありのまま見ようとする、そういう健気さと強さを感じます。
YouTubeコメント欄を見ると、この曲を怖いし異常だ!と捉える意見が多い。
しかし筆者は逆で、むしろ希望の兆しを秘めた、明るい未来を想起させる作品だと思っている。
この記事はその考察の要約であり、DECO*27「モニタリング」を“物語”として読み解いていきたいと思います。
DECO*27作品の撮影
前のラビホ楽しかったから
次はチェリーポップかモニタリングが撮りたいです!!!— サークルⓀけーそん⚧️ (@Kimino_HITOMI) November 18, 2025
Contents
『モニタリング』deco*27の歌詞の意味を考察!

この曲をひとつの物語として読むと、キャラクターがいて、背景となる世界がある。
映像作品にも“過去・現在・未来”の示唆が組み込まれているなら、それを読み取りたい。
今回、歌詞+映像だけを手がかりに、物語として読み解きたいと思います。
イントロ〜Aメロ〜2回目サビまで
曲物語は、玄関のインターホンとノック音から始まる。
暗闇がぱっと開けると、初音ミク──しかし“ボカロとしてのミク”ではなく、
現実世界で生きる一人の学生としてのミクが登場します。
主人公はドア越しにミクの姿をこっそり見つめる“覗き込み”こそが、全編に通底する演出であり、映像の奇妙さの根幹でもありそうです。
そして、冒頭からこれだ。
ねえあたし知ってるよ きみがひとり“XX”してるの知ってるよ
このXXという伏せ字、扇情的な文言は、続く歌詞も挑発的で支配的なことがわかります。
さらに、ミクの目が黒線で隠される“ノイズ演出”。
ここで違和感の種が蒔かれる。
むしろこの支配ミクの姿こそ、主人公の心が歪めた“幻のミク”なのでは?
そう思わせる材料があると思えました。
主人公はミクが来る理由が分からないし、分からないことは、恐怖だ。
不安から生まれた“疑念”が、主人公の目に映るミクを“支配的な怪物”へと変えていく。
Bメロ〜3サビ:ミクが“愛の塊”に変貌する理由
ここが最大の転換点で、突然ミクが愛情深く、全肯定的な“推しミク”へと変貌する。
「できる子だよ」「悔しかったんでしょ」「好きだよ」
主人公にとって都合の良すぎる言葉が並ぶ。
しかしこれは二重人格でも、ミクの豹変でもない気がします。
ミクの描く愛は、相手を支えたいという純粋な願望が行き過ぎて、知らず知らずのうちに相手の苦しみや弱さに対しても執着してしまう心理を示しています。
つまり、相手の感情や状況すべてを掌握したいという欲望と、恋心が入り混じった、極めて深く危うい愛情表現になっているのです。
さらに“悔しがっている君”を労わる内容が登場し、楽曲が本来“弱った相手へ寄り添う姿勢”を描いたものであることが示されています。
とはいえ、歌詞のいたるところに“性的に見えなくもない表現”があえて残されており、その曖昧さが作品のミソとも言えます。
これは、女性のちょっとした優しさを、男性側が都合よく解釈してしまう“勘違いの構造”を表した演出と考えられます。
2番では女性が男性の弱さを受け止め、
「そんなあなたも素敵」
と言うような表現が出てきます。
しかしこれも、実際に女性がこう思っているのではなく、男性が“そう思ってほしい”と願う気持ちが肥大化した妄想だと考察します。
『モニタリング』妄想や幻覚の初音ミク曲を解剖!

Aメロの支配ミクも、Bメロ以降の偏愛ミクも、どちらも主人公が精神の不安定さの中で作り上げた“偽りのミク”です。
Aメロでは「怖い」からミクが怪しく見える。
Bメロでは「愛されたい」からミクが甘く見える。
ミクは実在するが、主人公の目に映っているミクは“現実のミクではない”。
主人公の状態によって認知が歪み、視界全体が極彩色に浸食されていく演出はまさにその象徴だ。
本当のミクはどこにいるのか?
ここまでで見えてくるのは一つ。
本物のミクはずっと“普通のミク”のまま、ただ主人公を心配して訪ねているだけ。
Aメロで録画しているように見えた場面も、主人公の恐怖が勝手に「意味付け」しただけで、
実際は全く別の仕草かもしれない。
Bメロの“恋するミク”も、主人公の渇望と孤独が生み出した虚像に過ぎない。
この虚実のズレが、モニタリングの物語の深淵だと思っています。
奇妙なサイケデリック演出は何を示す?
外の描写は驚くほど写実的で、現実そのもの。
なのにミクの周囲だけが、極彩色の輪やうにょうにょした細胞、歪む視界で満たされる。
この対比が何を意味するか。
結論を言えば、
主人公は心身が極限まで疲弊し、現実認識に“幻覚”が混じっている状態。
飛蚊症のような浮遊物、血走った視界、ドラッグ的サイケ演出これらは主人公のフラストレーション・睡眠不足・精神不調を象徴していると考えられれます。
MVでは“男の暴走した妄想”が強調される
楽曲のミュージックビデオを見ると、男性側の思いこみがより鮮明になります。
映像では、初音ミクがドア越しにこちらをからかうような表情を浮かべていますが、ラストでは表情が一変。
男性を“怖いものを見るように”引いた目で見ているようにも見えます。
つまり男性の彼女はきっと自分を気にしてくれているはずといった妄想が、完全に空回りしていたことがMVで明確になるのです。
サビは“男性の妄執”が最も強く現れる箇所
サビ頭に登場する「MWAH」というキスの擬音。
これは女性の願望ではなく、男性側が勝手に“そうしてほしい”と想像している音だと考えられます。
続くサビの歌詞には、甘く聞こえる表現が散りばめられていますが、よくよく読むと“女性にとっては引いてしまうほどの思い込み”が露骨に表現されています。
・そばにいてくれる
・慰めてくれる
・一緒に泣いてくれる
・支えてくれる
など、“こうだったらいいな”が“そうに違いない”へと変換されていく流れが非常に巧妙。
曲が進むほど男性の妄想は肥大化し、リスナーはいや、それは思い込みすぎでは…?と感じる流れになっています。
しかし楽曲の最後で再び冒頭のメロに戻ることで、“結局女性がどう思っているのかは、歌詞では明言されないまま”物語が閉じられます。
その答え合わせがMVにあり、そこでようやく男性の妄想はすべて彼の中だけで完結していた
とわかるようになっています。
『モニタリング』deco*27の歌詞の意味を考察!妄想や幻覚の初音ミク曲を解剖!まとめ

「モニタリング」は、相手を完全にわかりたいという衝動と、恋心が入り混じった作品だと思いました。
そんな“きみ”のすべてを受け止められる自分(=ミク)は特別だ、と思い込み、妄想に浸っている様でした。
もしこの解釈が正しいとすれば、 モニタリングされていいたのは「きみ」ではなく、
自分の恋愛感情を抑えながら頭の中で妄想を膨らませるミク自身です!
そして、そのミクの妄想を見守っているのは、他でもない この曲を聴いている私たちリスナーなのではないでしょうか。
ぜひ、自分だけの答えを探し続けてほしいと思います。


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